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「アンジール、さん。一先ず服をお借りしたのですが」
でてきたクラウドを見て、アンジールはやはり大きすぎたか、と額を押さえた。
クラウドが今来ているのはソルジャーの制服でもあるニット(簡単には傷が入らないよう、繊維は特別製だ)のノースリーブなのだが・・・。
アンジールとクラウドでは体型が違いすぎて、ミニのワンピースのような状態だ。
一応腰の辺りをベルトで止めてみているが格好悪いことこの上ない。
でてきたクラウドに息を止めたのはセフィロスだ。
フワフワとした金色の髪、鮮やかな青い瞳・・・。
(ほんとうに、この子供がモンスターの群れを?)
「ん、ああクラウド。顔なら知っているだろう?」
促されるようにして顔を向けたクラウドもまた、息を詰まらせた。
惹かれて惹かれて、焦がれてどうしようもなかった人。
セフィロス
「は、はい・・・」
「アンジールから話は聞いた。期待の新人らしいな。」
「いえ、そんな」
「謙遜するな、クラウド。ナイフ一本でアレだけの数を片付けるのは、俺たちでも骨を折る」
「有難うございます。」
「君もあれか・・・?ソルジャー志望で」
「いえ、一応仕官となるつもりで、ソルジャーになる気はありません」
これまた珍しいとアンジールもセフィロスも眼を丸くした。
このぐらいの子供なら、大抵がソルジャーを目指し、適正試験に落ちて始めて他の進路を選ぶくらいなのだから。
「というよりも、なるのが難しいと考えています」
「その根拠は?」
「セフィロス、試験官でもあるまいしやめないか。」
仕事モードに入りかけたセフィロスを軽くいさめるアンジール。
それに拗ねたような表情を見せるセフィロスを見て、クラウドは「(あぁ・・・)」と感慨を覚えた。
クラウドが彼のこんな表情を見たのは、彼にお預けを食らわせた時だったか…。
「いえ、お気になさらないでください。自分の出身はニブルヘイムと言う村です。以前は神羅の社員の方もよく出入りしていたと聞きますが」
そういわれて思い当たることがあったらしいアンジールがああ、と頷いた。
「俺たち軍部のほうには直接関係はないが、あそこは魔晄の豊富な土地らしいからな。科学部門のほうがよく出向いていたと言う話は聞いたことがある。さすがに、俺もセフィロスもまだソルジャーとして活動していなかったがな。」
「それで、まぁニブルヘイムの村の人たちは皆黒髪に黒目の人が多くてどちらかと言うとウータイのほうの血が多く混ざっているそうなんです。そんな中、この金髪は目立つでしょう?」
苦笑しながら自分の髪を指差す。
「母は案外馴染んでいたようなんですが、自分はその、人付き合いが苦手で友達も作れず、一人でニブル山で遊ぶことが多かったんです。」
そこまで話すとなるほど、と納得したようにセフィロスが頷いた。
「ニブル山はソルジャーがいなければ一般兵では難しいといわれている。ソルジャーとなる原理としては一度に大量に魔晄を照射することだといわれているからな。魔晄の多いあの山で遊んでいた君は、いわば天然のソルジャーのようなものと言うことか。」
「そういうことです。ソルジャーとなるために魔晄を照射すると逆に体内の魔晄が多くなりすぎて、魔晄中毒になる可能性が強いと試験の際に言われました。」
因みにクラウドの話はあながち嘘でもないが、当然嘘である。
今のクラウドは体内にジェノバ細胞を宿し、本物のソルジャーと同程度の能力を所有している。
流石にそんなことまで言うわけにはいかないが。
「それなら、仕官を目指していこうって思ったんです。」
「そうか、頑張れよ。」
「ええ、有難うございます。」
前とは違う物語。
ここからが始まり・・・。
(セフィロス・・・もう、貴方を一人にしやしない)
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