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神羅の社員達はギョッとしてアンジールと、その後を歩く血濡れのチョコボを凝視していた。
いや、アンジールは良い・・・彼は神羅の誇るソルジャーの一人なのだから。
だが・・・

その後ろを歩く小柄な少年?少女?はまた物凄く微妙な存在だった。
保護をして来たと言うには血濡れの割に怪我をした様子も見受けられないし、アンジールの親類縁者にも見えない。
ならあれはなんだろうと首をかしげる。

ここでアンジールの色小姓という発想が生まれないのは、ひとえに常日頃から彼に寄せられている信頼の賜物と言う物だろう。
これがジェネシスやセフィロスだったりしたならば「ああ、あの子・・・喰われるな」と哀れみと羨望と嫉妬の眼差しが向けられる。

「あの・・・サー・アンジール」

「ん?まだ入隊していないんだからアンジールで構わん」

「いえ、それはなんだか納まりが悪いと言うか」

「なんだそれは、その謙虚さを少しは俺の後輩や同僚に分けてやりたいよ」

アンジールはクツクツと笑って、彼の執務室兼仮眠室となっている部屋へクラウドを招き入れた。
部屋の中には綺麗に整頓された机と・・・やけに散らかり放題の机が一つ。
それがザックスの机だろうなと言うことは簡単に想像がついた。

「奥にシャワールームがあるからそこで血を落とすといい。その服は・・・まぁ、何か思い入れや思い出があると言うのならクリーニングにまわしては見るが」

「あ、いえ・・・もう血も乾いていますし帰ってから処分します。」

「それは・・・不審者だろう」

「でも、今日は替えを持っていませんし」

「俺の・・・は無理だな」

かといってやはりこの血濡れの服を着させて帰るのは如何な物だろうとアンジールは唸り首をかしげる。
クラウドはクラウドで(ザックスにいい人だとは聞いていたが、ここまでおせっか・・・いや、親身になられるとは)と考え込むアンジールを見てぼんやりそんなことを思っていた。

「いえ、あの・・・だから本当に大丈夫です。シャワーをお借りできるだけとてもありがたいので」

「そうか・・・一応その服は洗濯に回してみよう」

「洗濯って・・・まさか洗濯機ですか?」

「ああ、執務室は基本的に好きなように使ってもいいことになっているから、置かせてもらっているんだ」

ソルジャーが洗濯機・・・。
クラウドは唖然として言葉も出なかった。


++++++++++

アンジールの執務室にセフィロスが訪れる理由は片手の指で数えられる程度しかない。
1つ、普通に仕事の話
2つ、飲みに行く誘い
3つ、訓練の誘い
4つ、女から逃げている時
5つ目はそれ以外だが、生憎そのそれ以外と言う用事にお目にかかった事はない。
とにかく今日は、久方ぶりにアンジールを誘って飲みにでも行こうとセフィロスはその執務室を訪れたのだ。

しかし・・・。

「いない・・・?」

アンジールが鍵をかけずに執務室を出ると言うことは殆どない。
ほんの少し、所用で廊下に呼び出されても鍵をかけるのだ。
なぜかと問いかけたら、万が一賊の侵入を許したときに自分が敗れて、機密情報が沢山ある自分の執務室に押し入られては適わないからと答えた。
まず、ソルジャー1stであるアンジールが倒されることなど、万に一つどころか億に一つもありえないだろうし、そもそも怨恨でここを訪れる物は書類に用はないだろうし、その上このフロアに来ることさえそれこそ万に一つの確立でしかないだろう。

そう言ってもアンジールは用心するに越した事はないと言うのだ。
そのアンジールが鍵もかけずに外出・・・?
絶対にありえない、と思ったとき物音がした。
シャワールームのあるほうからだ。
なんだシャワーを浴びていたのかと納得したセフィロスだったが、シャワールームとは違う、仮眠室から姿を現したアンジールを見て軽く首をかしげた。

「アンジール・・・?」

「なんだ、セフィロス来ていたのか。少し待っていてくれ。」

「なんだ、とは嬉しい言い草だな。お前の秘蔵のハリネズミが来ているのか?」

「ザックスじゃない。来期入隊予定の子供だ。」

育て甲斐があるとばかりに笑うアンジールを見てセフィロスが思ったのは「イケニエが一人」と言うことだった。
アンジールの扱きは生半可な物ではない。
現に今ソルジャー1stにすべく扱いているザックスはアンジールが模擬戦で目をつけ、特待制度を利用し手元においているのだ。
おかげでザックスは異例の速さで昇進したが、病院送りになった回数も新記録を樹立している。

「モノになりそうか?」

「弱いモンスターだったが、一つの群れを潰した。」

ナイフでな、と付け加えたアンジールにセフィロスは珍しく目を細めた。

「お前がそうまで言うなら、俺が育ててみるのも悪くないな。」

「お前が・・・?一つ聞いてもいいか?セフィロス」

「なんだ?」

「朝顔の苗をちゃんと育てられるのか?」

水と肥料だけではダメなんだぞと笑われ、セフィロスは逆に眉間に皴を寄せるのだった。


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