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と、そんなことはどうでもいい。
それよりも、どうして今自分がここにいるのか。
消えたはずのニブルヘイム村の、自分の家の、自分の部屋にいるのか
それを確かめなくてはいけない。
クラウドはベッドから降りると着替えを手に取ろうとたんすに近寄ろうとして、クラウドは自分の体から伸びる四肢の細さに目を見開いた。
クラウドは筋肉もつきにくく、パワータイプの兵士ではないがそんじょそこらの男を伸せるぐらいには鍛えてあったはずだ。
それが今はか細い枝のように細い手足。
昏睡状態・・・眠っていたから筋肉が落ちたというレベルではない。
明らかに鍛えられていない体だ。
クラウドはあわてて鏡を覗き込んだ。
「そんな・・・っ」
肩より少し長い髪
まだ幼い顔つき
細い首
成長しきっていない幼い体躯
クラウドは5年ほど魔鉱漬けというモルモット扱いを受けていた為に成長がストップしていたがそれでもここまでではなかった。
「どうなっている・・・」
髭が生える予兆さえない頬をなでてみた。
もっとよく確かめてみようと寝巻きのTシャツを脱ぎ捨てて・・・捨てて・・・
「なっ・・・」
思わず大絶叫を上げそうにあってクラウドはあわてて自分の口を押さえた。
窓の外に見えた風景は明らかに早朝といったところで薄もやがかかっていた。
おそらくまだ誰も起き出してはいないだろう。
それ故に助かったという気がしなくもない。
クラウドは信じられないという面持ちで鏡に近づきよくよく自分の体を確かめた。
華奢な体躯に細い腰、緩くふくらみを持つ胸がクラウドの性別を象徴していた・・・。
そっと下半身に手を当ててクラウドは叫び声を再び飲み込む。
クラウドは生まれてこの方女装という屈辱を覚えたことはあるが、男という性別を捨てた覚えはない。
だがこれはどう見ても・・・
「何で・・・女に・・・」
女の体だった。
クラウドはとりあえず動きやすそうな服と靴を選び、こうなれば家主になんと言われてもかまわないとばかりに部屋を漁ってみた。
いやな予感がますます募っていく・・・。
部屋の中にあるものは、見覚えのない女性物も確かにあるが、基本的にクラウドの記憶にあるクラウドの部屋と相違はなかった。
クラウドが母に内緒で隠していた大振りのナイフの位置まで。
クラウドは部屋の中にあるものでなるべく装備を整えるとそれらをナップザックにつめて・・・ふと思いついたように一冊のノートを手にした。
味気のない普通のノート・・・
クラウドは後ろのほうから順繰りにページをめくっていく。
使い始めたばかりなのか、そのノートの最初のほうのページに最後の記述があった。
『8月10日
今日はニブル山の中腹まで行けた。もっと強くなりたい。明日は誕生日、13になる。母さんも早く帰ってきてくれるといった。神羅士官学校の試験まであと少し』
自分らしい適当・・・というにはおかしいけれど短い言葉でまとめられた日記。
「今日で・・13歳・・・?」
神羅が家の中まで再現していなかったとすれば、いよいよクラウドのいやな予感が的中しているということになる。
とにかくクラウドはニブル山に登ってみよう、とノートを閉じて、朝もやに包まれたニブル村へと飛び出していった。
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